「神々と男たち」を観ました

2010年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作。シネスイッチ銀座でしか上映していないようなので、普段あまり行かない銀座まで足を運びました。

あらすじだけを見ると宗教とテロについて描いた映画だと思われがちですが、生活というものについてわたしは考えさせられました。

アルジェリアで起きた武装イスラム集団によるフランス人修道士誘拐・殺害事件を映画化した作品です。

人里離れた村にある修道院で暮らすカトリックのフランス人修道士たち。宗教は違うもののイスラム教徒である地元民と平和に共存していました。しかし村の近くでクロアチア人がイスラム過激派に襲撃される事件が発生し、修道士たちにも危険が迫ります。アルジェリアを離れるか、それとも村に留まるのか。修道士たちはそれぞれ決断を迫られ葛藤します。

この映画では事件よりも修道士たちが村人と生活する姿をひたすらに淡々と映しています。そしてテロという外的な力によってその生活が脅かされるのですが、アルジェリア軍からの保護申し出も断り、彼らはいつもどおりに生活することに努めようとします。

それは地元住民たちへの愛情からだとわたしは思いました。軍の保護を受ければ、住民たちの生活は変わってしまいます。また、修道士たちが去るということになれば、住民たちは不安を抱きます。修道院は村の生活に根付いており、修道士たちがいなくなってしまうと今の生活は失われてしまうし、何よりテロの恐怖から修道士が去ったとなれば、村を離れることができない住民たちは不安になってしまうことは間違いないのです。

この映画の大きなテーマであろう友愛、隣人愛、そして恐怖に屈しない信念、信仰からの行動だとは思うのですが、その表れとして生活を守る、ということが印象的でした。

外的な力で生活が脅かされるとき、いつも通りを維持することはやはり難しいことです。これは今、日本にいる多くの人が感じていることだと思います。そんなとき、生活から逃げるということは確か一番手っ取り早い解決方法なのですが、生活は周囲も巻き込んだものです。だからいつも通りの生活が脅かされる危機におちいったとしても、まだ決定的に破壊されていないのであれば、自分だけ逃げてしまうと周囲の生活をも破壊してしまう事態になってしまうかもしれないのです。

今だからこういった感想になったと思うのですが、間を空けてもう一度観るとその時は別のことを感じそうな気がします。DVDでまた観たいです。